「モダンなサッカー指導 〜世界基準を目指して〜」公開迫る!
昨年9月14日のブログで予告していた「オンラインサロン 」がいよいよ開設準備が整い、近日中に公開されます。
今日は前回のブログよりも、少し詳細な内容を紹介をしたいと思います。オンラインサロンへ入会してサロン会員になった場合の特典の中に、「講義/対談などの動画の閲覧」があります。当初はサロン・オーナーである私(坂本)が、「『ボールを重視』したゾーンディフェンス」について説明していきます。(のちには、サロン会員からのリクエストに応えて、ゲスト講師の登場も計画したいと考えています。)
その中から一部の動画を抜き出し、どんな方向の話(講義)をしようと計画しているのか、守備戦術についての動画のあらましをお伝えします。
サイドでの1対1
少々FWの諦めが良かったようにも見えてしまう動画ですが、サイドでの1対1の基本的な戦術行動として、模範的なDFの戦術行動の要素がたくさん詰まっているプレーです。
注目してもらいたい点は、FWへボールが渡ったときのDFのポジションです。ボールとゴールの中心を結んだ線上へは行っていません。やや内側にずれ、そのポジショニングにより、FWを前へ(外へ)誘導しています。
もう一つ注目してもらいたいのは、少し内側にずれたポジションまで行った後すぐに後退を始め、一歩下がるごとに徐々にFWへすり寄っていることです。
さらにスローにして何度も見てもらいたい戦術行動は、FWのドリブルが大きくなったとみるや否や、DFはすかさずFWとのボディコンタクトを取りに行っています。抜群のタイミングでショルダーチャージを敢行して、FWの走行ラインをボールが転がるレールから脱線させることに成功しています。
この一連の判断と動作がとてもスムーズなため、動画を単純に流して見ていると、単にFWがやる気がなくて易々とボールをDFへ献上したように見えてしまっています。
サイドでの1対2 SBとCBの連携
次に2人のDFで協力してボール奪取を行うシーンについて説明したいと思いますが、この動画では2人目のDFの登場の仕方がしびれます。最高です。
これを見て単純に「チャレンジ&カバー」だと言う人も居ると思いますが、少し違うと思います。それは、この動画においても(一つ目の動画と同様)第1DFはやや内側へずれたポジションへ行き、意図的にドリブラーを前へ(外へ)誘導しています(若干立っていて、ダイナミックな動きではありませんが)。
第1DFがボールを持ったFWを外へ追いやる(動画では前へ、内側へ誘い込むことではないことを意図)原則に従い行動し、後方でそれを見ていた第2DFも同じ決まり事(原則)の下、連携した戦術行動を起こしています。
「チャレンジ&カバー」もこのようにドリブラーをどの方向へ誘導するという決め事をチームとして共有していたチームもあったかも知れませんが、多くのチームでは一人目が「1対1」を行い、その(どちらへ向かうか?わからない)「1対1」をかいくぐってきたFWへ2人目のDFが寄って行っただけだったと思います。
少なくとも、私がかつて所属していた、1980年代北信越リーグ(当時の3部リーグ)で戦っていた山雅サッカークラブ(現在の松本山雅フットボールクラブ)では、そうでした。ボールを持っているFWをどちらへ誘導するか?について、あまり明確ではなかったと記憶しています。もちろん基本的には「外へ、外へ」とは叫ばれていましたが、残念ながらそれを叶える具体的な行動指針までは存在していませんでした。
着目してもらいたい点はやはり、第1DFがやや内側へずれたポジションへ意図をもって行っていること。それはつまり、どこでボール奪取を計るのか?が明確であるということです。言葉を変えれば、どこに罠を仕掛けるか?を第2DFと共有している、ということになります。
サッカーは11対11、あるいは8対8の、いわば「数的同数のスポーツ」です。そして今やドイツ人プレーヤーでも、エレガントなボールコントロールを披露する時代になりました。まるでブラジル人のように。かつて「質実剛健さ」と「卓越した計画遂行能力」に物を言わせて、世界に君臨していたドイツの時代は過ぎ去りました。
つまり今は、ボールを持ったチームの方が有利です。昔より、圧倒的に有利になりました。ですから反対に、ボールを奪うことが難しくなってきています。そこで、守備の際には人数を掛けることが必要になっています。多勢に無勢、数的有利な状況を如何にボールの周りに発生させるか?が現代のサッカーでは求められています。マンツーマンディフェンスが消えた理由が、まさにここにあります。
3対2 ドリブラーを誘導 数的有利へ
最後に、3対2の場面での守備について話します。3対2の状況で、相手チームの真ん中の選手がボールを持っていた場合、数的不利である守備側のチームは「ボール奪取」を第一目標として掲げることはできません。一番念頭にあることは「時間稼ぎ」です。つまり、味方の選手が戻ってくるのを待つしかありません。
もし不用意にどちらかのDFがボールに寄っていって1対1をトライしてしまった瞬間、第2DFが居ないサイドのFWへパスを通されると、そのままゴールへドリブルで突進されてしまう危険性が高いからです。
上に掲げた動画では、ドリブルを始めた真ん中のFWが右利きであるため、左のDFが対峙する反応を見せ、やや左へずれたポジションへ行っています。そのことによりドリブラーは、自身の左足の方へドリブルのコースを変えています。これは、最悪ペナルティエリアの手前からシュートを打たれたとしても、利き足ではない、左足で打たせるための方策です。
そして、ドリブルの方向が定まったことを感知した第2DFが『もしかしたら二人で挟めるかも?』と思い、後ろへ下がるのをやめ、待っています。第1DFと対峙した際にボールコントロールを失ったとみるや否や、第2DFはボールへ突進し、相手FWの走るコースを消し、さもボールをスクリーンするかのような形でボールを自分の物にしています。
ボールを持っている攻撃側から見れば、『ボールコントロールを失いそうになったんだから、だったら左に居る味方へ簡単にパスを出せば良かったじゃん』ということだと思います。どうして、そうならなかったのか?
おそらくボールを持っていたFWはボールコントロールに喘ぎながらも、何とか一人目のDFをやり過ごし、そこで左へボールを出そうと思っていたと思います。ところが第1DFを置き去りにすべくスピードを上げたところ、さらなるミスコントロールが起き、慌ててボールを追いかけていたと思います。
着目すべきは、第1DFがドリブルの方向を限定し、スピードで置き去りにされまいと加速してドリブラーに付いて行ったこと。そして第2DFが咄嗟の判断で、勇気をもってドリブラーとの間合いを詰め、上手に体を入れてボールと相手を引き裂いたことでした。すべてのプロセスにおいて、常にディフェンダー陣の方が先手先手を取り、オフェンス側は後手後手に回ったシーンでした。
この「先手先手を取るサッカー」こそが現代のサッカーであり、これをマスターしない限りは海外の選手からはボールを奪うことは難しいのが現実です。このような能動的な守備の仕方は、「喧嘩サッカー」と表現してもいいのかも知れません。ルールブックに定められたルールは侵さないものの、「野蛮なくらい」かなりダイナミックな戦術行動が必要となるからです。
オンラインサロンが公開されたら、またこのブログやSNSを通じて告知します。ぜひ皆さん「ドイツにあって、日本にないもの(戦術や指導方法)」を学ぶ機会を作ってみることを考えてみてください。それでは、たくさんの方からの参加をお待ちしています。
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